『アナコンダ』チープなCGの巨大ヘビより別のモンスターが怖い
巨大な蛇のアナコンダが暴れ、登場人物や視聴者を恐怖させる…はずだったモンスター・パニック映画『アナコンダ』。
その実態は、他のモンスターが暴れ回る映画だった。
あらすじ
幻のインディオ・シリシャマ族のドキュメンタリーを撮るため、アマゾンを訪れた撮影スタッフ一行。
だが、そこで彼らは船が故障して立ち往生している男・サローンに遭遇する。
一行は彼を救助した上で、撮影を続行しようとするのだが――。
アナコンダより強烈な印象のアナコンダハンター
『アナコンダ』というタイトルで、確かに巨大なアナコンダは出てくるし、それがストーリー上のキーにはなっている。
しかし、アナコンダよりもっと強烈な個性のモンスターがいるせいで、タイトルに違和感を覚える始末。
そのモンスターが、アナコンダハンター・サローン。最初は何やら含みのある笑みや言動で見ている者に不信感を抱かせ、案の定、銃で脅して船内での指揮権を強奪する。
他にも女性主人公・テリーをやたらといやらしい視線で見つめる、船員の一人を甘言で篭絡する、ドン引きレベルでアナコンダに執着する、などいろんな意味で濃い。どう考えてもこいつが主役です。
そんなサローンを演じるのはジョン・ヴォイト。1978年にアカデミー主演男優賞を受賞したベテランで、彼の演技力のおかげでサローンの存在感が際立っている。役者すげえ。
存在感に関しては、アナコンダさんがアナコンダハンターに完全に負けている。アカンでしょ。
いっそ映画名を『アナコンダハンター』とか『サローン』とかにしたほうがよかったのでは? 頑張れアナコンダ。
チープなCGで描写されるアナコンダ
肝心のアナコンダはCGで表現されているのだが、1997年公開とはいえ、今見ると難あり。
私は最近になって見たのだが、CGがめちゃくちゃチープで思わず笑ってしまった。
映画公開時はこのくらいでもハイクオリティだったのか。当時の評価を知っている人がいたら教えてほしい。
サローン役のジョン・ヴォイトの演技は素晴らしい
『アナコンダ』というタイトルで、見る人はパニック映画らしく、巨大なアナコンダが暴れ回る映画を連想するだろう。
確かにそういうシーンもあるのだが、それ以上にアナコンダに異常な情熱を注ぐサローンが圧倒的な印象を放っている。
そのため、モンスター・パニック映画を期待した人には肩透かしかもしれないが、ジョン・ヴォイトの怪演は見事。
金払ってまで見る価値はないと思うが、『午後のロード・ショー』あたりで再放送していたら、一度は見てほしい気もする。