『貞子vs伽椰子』バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!ぶつけた結果は!?
Jホラーを代表する悪霊の貞子と伽椰子。この2人を文字どおりぶつけたのが『貞子vs伽椰子』。
タイトルを見ただけだと完全にギャグにしか思えない。宣伝の一環で、総選恐とかいうしょうもないネタもやっているし。
しかし一応、2人のバトルが始まるまではホラーとして頑張っている。まあ、それでも人によっては笑ってしまうが。
ちなみに、こんなんでも角川映画40周年記念作品らしい。
- あらすじ
- Jホラー界の2大スーパースター
- 悪霊どもの獲物たち
- バケモンにはバケモンをぶつける霊能力者
- 作風は幽霊がバンバン出まくる『呪怨』に近い
- 設定の簡略化や変更を受け入れられるか
- ドリームマッチの行く末
- 割り切ることができればそれなりに楽しめる作品
あらすじ
偶然、呪いのビデオを入手する有里。自身の好奇心のせいで、友人の夏美が呪われてしまい、貞子に狙われることになってしまう。
父親の仕事の都合で引っ越した鈴花。近所の小学生たちが行方不明になったことをきっかけに、伽椰子の家に足を踏み入れてしまう。
有里は夏美とともに、呪いのビデオや都市伝説に詳しい大学教授の森繁を頼った。彼の知り合いの霊能力者・法柳に除霊を依頼するが、結果は失敗。法柳と森繁は命を落としてしまう。
絶望する有理と夏美の前に、法柳以上の霊能力を持つ経蔵と、彼の相棒の少女・玉緒が現れた。法柳が事前に連絡していたのだ。
経蔵は言う、「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」と。かくして、Jホラー界のスーパースター、貞子と伽椰子の対決の幕が切って落とされる!
Jホラー界の2大スーパースター
『貞子vs伽椰子』では、Jホラーでもトップクラスの知名度を誇る悪霊2人が正面対決する。
貞子は、鈴木光司氏の小説『リング』で故人として紹介される超能力者だ。とある人物に井戸に投げ捨てられてしまった挙げ句、死亡してしまう。
貞子といえば、テレビから這い出てくる映画版独自の場面を思い出す人も多いのではないだろうか。
伽椰子はエッジボイスと呼ばれる「アアア……」という独特な奇声と、真っ白かつ血まみれな姿が特徴だ。息子の俊雄も、もちろん一緒に出演する。
悪霊どもの獲物たち
本作はタイトルどおり、貞子と伽椰子がぶつかる話である。両者ともに自分の獲物に執着する性質で、これがドリームマッチ実現の大きな要因だ。
貞子に狙われるのは、女子大生・有里。友人の夏美から、両親の結婚式のビデオテープをDVDにダビングしてほしいと頼まれる。これがきっかけで、有里たちは呪いのビデオを見てしまうことに。
有里の友人・夏美は、最初は不運な被害者で、呪いにひどく怯えていた。しかしヤケになった結果、呪いのビデオの映像をネットにアップするというとんでもない暴挙をやらかす。
伽椰子に狙われるのは、女子高生・鈴花だ。父親の仕事の都合で引っ越すのだが、よりにもよって近所に伽椰子の家があったのが最大の不幸。
バケモンにはバケモンをぶつける霊能力者
ドリームマッチを提案したのは、霊能力者の経蔵だ。不謹慎で軽薄な人間のため、初登場時の印象は最低である。しかし、霊能力者としてはかなり優秀らしい。
彼の相棒の玉緒は、小学生の女の子だ。霊視に限れば、経蔵よりも有能なようだ。
しかし人間性に問題のある経蔵の相棒だけあって、かなり態度がでかい。伽椰子に呪われた鈴花を「使える」発言するなど、見方によっては経蔵以上にアレな性格かも。
作風は幽霊がバンバン出まくる『呪怨』に近い
『貞子vs伽椰子』という色物感が満載なタイトルに反して、悪霊バトルが始まるまでは割と真面目にホラーをやっていた。悪霊バトル部分は完全にギャグだが。
映画『リング』では、直接的なホラー描写は終盤までなかったが、本作の貞子はこれでもかというくらい姿を現す。『呪怨』シリーズで自重しなかった伽椰子は、本作でも隙あらば自己アピールに余念がない。
人がバンバン死にまくるし幽霊もバンバン出まくるので、作風は『リング』より『呪怨』に近い。人によっては笑えるという意味でも、やっぱり『呪怨』だ。
設定の簡略化や変更を受け入れられるか
呪いのビデオは貞子のキーアイテムだが、『貞子vs伽椰子』での映像は本家のものとは異なっている。廃屋から貞子が現れ、画面に向かって近づいてくるという内容だ。
ビデオの映像が異なるのは、貞子ファンには大きなマイナスかもしれない。しかし、この変更は最後の最後でサプライズとして機能するため、決して無意味な変更ではないことを理解してほしい。
貞子だけでなく、伽椰子も本作のために設定が簡略化、あるいは変更されている。貞子や伽椰子のファンにとって、そこを受け入れられるかで評価が変わりそうだ。
ドリームマッチの行く末
Jホラーを代表する2大悪霊の戦いは、果たしてどうなるのか? というわけで、ここからエンディングのネタバレ開始。
貞子と伽椰子を真正面から文字どおりぶつけた結果、まさかの融合合体を果たす。かくして、サダカヤという新しいバケモンが爆誕した。バケモンにはバケモンをぶつけた結果がこれだよ!
この手のクロスオーバーで下手に別作品間のキャラの優劣を決めると、大変面倒なことになるものだ。そういう意味で『貞子vs伽椰子』のエンディングは、クロスオーバー作品としてはベストだろう。
貞子と伽椰子のどちらにも見せ場を作りつつ、実質的には引き分けにしたわけだ。安易に除霊や封印が成功とならないことで、2人の脅威性も損なわれていない。
割り切ることができればそれなりに楽しめる作品
ハリウッドリメイクも作られた、日本を代表する悪霊2人の悪夢の共演『貞子vs伽椰子』。
本作のために設定を改変しているが、元作品のファンからすると改悪に思える部分もあるかもしれない。貞子も『呪怨』シリーズも、公式が後続作でやらかしまくっているが。
とはいえ、割り切ることができればそれなりに楽しめる作品でもある。特に終盤の悪霊バトルは、ノリのいい友人と見ると盛り上がるだろう。