『REC:レック/ザ・クアランティン』狂犬病ゾンビと1つ屋根の下なPOVホラー
ゾンビとPOVを組み合わせた、スペイン発のホラー映画『REC/レック』。そのハリウッドリメイク版が『REC:レック/ザ・クアランティン』である。
ゾンビになった理由など設定に差異はあるが、シナリオはほとんど一緒だ。そのため、オリジナルのファンからすると物足りないかもしれないが、『REC/レック』シリーズ初心者なら十分楽しめると思う。
あらすじ
ドキュメンタリー番組制作のため、消防隊に密着取材をしていたレポーターのアンジェラとカメラマンのスコット。消防隊が出動することになり、当然2人は同行する。
通報があったのはアパートで、一人暮らしの老婆の部屋から尋常じゃない悲鳴が聞こえたという。アンジェラたちは消防士、警察官とともに老婆の部屋に入る。
何があったのか老婆は血まみれで、一行は救助のために距離を詰める。しかし、突如として老婆は警察官の1人に噛み付いた。
本作のゾンビは狂犬病の感染者
『REC:レック/ザ・クアランティン』のゾンビは、未知の病気に感染したために凶暴化した人間だ。アパートの住人の1人が獣医で、彼の知識によって狂犬病に類似した病気だと判明する。
狂犬病として見た場合は驚異的な感染速度らしく、個人差はあるが噛まれて数分で発症する。噛まれたら即座にゾンビ化する作品が多いので、他のゾンビ映画と比較するとゆっくりに思えてじれったいかもしれない。
しかし、この時差がゾンビ化していない感染者がいないか、未発症者がいつゾンビになるのかという恐怖や不安を生み出している。
アパートの中で展開される惨劇
『REC:レック/ザ・クアランティン』は、封鎖されたアパートが基本的な舞台になる。老婆の異変を皮切りに、アパート内で徐々にゾンビもとい感染者が増えていく。
ストーリー展開は工夫されており、封鎖されたアパートという舞台をフル活用していた。ゾンビはもちろん、未知の感染症への恐怖もしっかり描かれていたのが印象的。
ホラー描写も凝っており、ゾンビ化している人に不用意に近づいて噛まれるという定番や、暗闇の中でゾンビに見つからないように息を潜めるシチュエーションもある。
POV形式であるがゆえの難点も
ゾンビもののホラーとしてはなかなか面白いのだが、POV形式であるがゆえの難点もある。映像はカメラで撮られたものという設定のため、手ブレがひどい部分があるのだ。人によっては酔ってしまうかも。
カメラといえば、本作のカメラは映像の記録という一般的な使い方以外にも、打撃武器としてゾンビをぶちのめす役割もある。何度もゾンビを殴打しているのが、レンズにヒビ一つ入らねえ!
言動がひどい登場人物たち
レポーターのアンジェラとカメラマンのスコットは、警察官の指示に従うことを条件にアパート内での撮影を許可された。だというのに、何度も「撮影をやめろ」と言われているのにカメラを回し続ける。POV形式だから仕方ない面はあるが、主人公としてはどうなのよ。
また、他の登場人物たちも自分勝手な行動を取ったり、喧嘩っ早かったりする。異常事態が起こったアパートに閉じ込められているとはいえ、言動がひどい登場人物が多いので、人によってはイライラするかも。
シリーズ初見なら十分楽しめる
狂犬病ゾンビと1つ屋根の下という閉鎖空間を活用している『REC:レック/ザ・クアランティン』。
ストーリー展開やホラー描写はしっかりしているので、『REC/レック』シリーズ初見なら十分楽しめると思う。反面、POV形式のデメリットもあるので、その点は注意してほしい。
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