『ジュマンジ』マスの内容が現実になる⁉驚異のすごろく系ボードゲーム
マスの内容が現実になるというすごろくが巻き起こす騒動を描いたアドベンチャー・ファンタジー映画『ジュマンジ』。
原作はアメリカの児童文学作家クリス・ヴァン・オールズバーグの同名絵本だ。そのため、映画もファミリー向けとなっている。
すごろくのマスの内容は物騒なものが多い。本作が大人向けだったら、グロやスプラッター描写がマシマシになりそうな予感がするほどだ。
だが本作はあくまでもファミリー向けなので、メインキャラが死亡するということはない。
1995年の映画とやや古いが、家族そろって安心してみることができる名作なので、興味があればぜひ見てほしい。
- あらすじ
- ジュマンジとは?世界一危険なすごろく系ボードゲーム
- ジュマンジに参加してしまった4人のプレイヤー
- 1度はやってみたい?とんでもすごろくと巻き起こる騒動
- 困難を乗り越えて生まれる絆と離れ離れになって伝わる愛情
- とんでもすごろくが特徴なファミリー映画の名作
あらすじ
1969年、少年アランは父の経営する工場の敷地で古い木箱を見つける。木箱はジュマンジという名のすごろくだった。
ジュマンジを持ち帰ったアランは、知り合いの少女サラとゲームをする。
だが、ジュマンジはただのゲームではなく、マスの内容を現実にする危険なすごろくだった! そのせいでアランは、ジュマンジの中のジャングルに閉じ込められてしまう。
それから26年後の1995年。かつてアランが住んでいた町に、ジュディとピーターの姉弟が保護者の叔母とともに越してくる。
引っ越しからしばらくして、ジュディとピーターは屋根裏部屋で古い木箱――ジュマンジを発見してしまう。
ジュマンジとは?世界一危険なすごろく系ボードゲーム
本作のタイトルにもなっているジュマンジは、作中で行われる世界一危険なすごろくの名前だ。
すごろくと言えば人生ゲームを思い出す人も多いだろう。あちらはルーレットだが。
ジュマンジの最大の特徴は、コマが止まったマスの内容が現実になること。どういうことかというと、マスの内容が「ライオンが出てくる」という場合、実際にどこからともなくライオンが現れるのだ。
他にも、止まるまでマスの内容がわからない、プレイヤーや周囲の人々に害のあるものしか発生しないなどの特徴がある。下手したら死ぬようなレベルの内容も多数ある。なんだこの闇のゲーム。
ジュマンジを終わらせる方法は1つ。プレイヤーの誰かが最後のマスに到達し、「ジュマンジ」と唱えることだ。勝者が決まった瞬間、ジュマンジによって引き起こされたすべては「なかったこと」になる。
ジュマンジに参加してしまった4人のプレイヤー
ジュマンジは最大4人でプレイできる。本作でも、最終的に4人でゲームを進めることになる。
1人目のプレイヤーはアランだ。ゲームを始めたときは少年だったが、ジュマンジの中のジャングルに26年間閉じ込められることになってしまう。ターザンかな?
後述のジュディたちがゲームを始めたおかげで、ゲーム内ジャングルから現実に戻ってくる。
2人目のプレイヤーはサラで、アランの友人だ。アランがジュマンジの中に吸い込まれるのを見てしまったサラは、ゲームを中断してしまう。その後、戻ってきたアランの説得により、すべてを終わらせるためにゲームを再開する。
残りの2人のプレイヤーはジュディとピーターの姉弟だ。事故で両親を亡くしたジュディたちは、自分たちを引き取ってくれた叔母とともにアランの住んでいた屋敷に越してくる。
2人は子どもらしい繊細さと子どもという立場を利用するしたたかな面を持ち合わせている。ゲームをやりたくないと駄々をこねるアランたちの尻を叩く場面もあり、大人びた子どもと大人げない大人の対比には思わず笑ってしまう。
1度はやってみたい?とんでもすごろくと巻き起こる騒動
本作の目玉は、ジュマンジによって引き起こされる非常識な騒動の数々だ。
前述した「ライオンが出てくる」はマシなほう。知能が異常発達したサル軍団が車やバイクで暴走したり、巨大な食人植物が人間を捕食しようとしたりと、とんでもない騒動が目白押しだ。
発生する大量のトラブルは、プレイヤーだけでなく周囲の人々にも牙をむく。作中では、猿軍団が町のあちこちで暴れまわり、巨大な虫に刺された人々が病院送りになったりする。
ジュマンジは4人しか参加できないけど、プレイできない人たちも退屈しないようにという配慮なのだろう。なんて迷惑!
とはいえ、次から次へと発生する非現実的な問題と、それらを乗り越えていく展開は面白い。ファミリー向けのため、人を選ぶようなグロテスクな描写もない。視聴者は安心してジュマンジの起こすトラブルを楽しめるわけだ。
困難を乗り越えて生まれる絆と離れ離れになって伝わる愛情
ジュマンジのもう1つの魅力は、人と人の絆だ。普通ならありえない困難をともに乗り越えることで、アランたち4人の間に絆が育まれる。終盤のアランたち4人は、まるで仲のいい家族のようだ。
また、アランと父親の関係性にも焦点が当てられている。少年時代のアランはいじめられているのだが、父親は「自分の力で戦え」と言うだけ。序盤の印象だけだと、アランに興味がないどころか邪険にしているようにも思える。
しかし、ジュマンジのジャングルにアランが閉じ込められた後、父親が必至でアランを探していたことが判明する。近くにいたときには愛情が伝わらなかったのに、離れ離れになってようやく伝わるのは皮肉なものだ。
残念ながら、帰還したアランが父親と再会を果たすことはできなかった。両親はすでに他界していたのだ。
けれど、ジュマンジによって引き起こされたすべてのトラブルは、ゲームの終わりとともになかったことになる。困難を乗り越えたアランが少年時代に戻って父親に抱き着くシーンは、本作屈指の名場面だろう。
とんでもすごろくが特徴なファミリー映画の名作
マスの内容が現実になるという、とんでもすごろくの巻き起こすトラブルを描いた『ジュマンジ』。
1995年の映画のため、父親の「いじめと戦え」という考えや本作のVFXはさすがに古臭い。
けれど、ジュマンジによって巻き起こる騒動の数々は夢がある。アランたちには悪いが、見ていて思わずワクワクハラハラしてしまうのだ。
また、アランたち4人の絆が深まる展開やアランが父親と再会するシーンなど、感動的な場面も多数ある。『ジュマンジ』は、夢と感動が詰め込まれたファミリー映画の名作と言っていいだろう。