『ひぐらしのなく頃に 拡 ~アウトブレイク~』アニメ5期に当たるOVA
一大ブームを引き起こした、竜騎士07氏率いる同人サークル07th Expansionが製作した同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に』。
アニメ5期にあたる『ひぐらしのなく頃に 拡 ~アウトブレイク~』は、ファン向けのOVA。
あらすじ
ある日、猛毒ウイルスが発見されてしまったために、主人公・前原圭一たちの住む雛見沢地区が防疫隔離されてしまう。自衛隊の無線を盗聴した友人・園崎魅音によると、ウイルスは雛見沢土着の風土病の可能性がある。
隔離されていた住人は最初、大人しくしていたが、隔離された不安かウイルスの影響か、おかしなデマを言い出すようになる。噂は次第に過激になり、否定すれば「お前も感染しているのか」と疑われるほどになってしまう。
やがて、次のような噂が流れる。雛見沢に越してきた圭一や友人・竜宮レナたちのせいで調和が崩れて今回の騒動が起きた。そして、親がオヤシロ様の祟りで死んだ北条沙都子を生け贄にすれば騒ぎが収まる――と。
圭一&レナVS村人
可愛い外見のレナだが、中盤では男前の大活躍をする。そして圭一とともに、生け贄にされそうな沙都子を助けるべく、噂に踊らされた一部の村人に戦いを挑む。
要するに、圭一たちが邪魔な村人をコロコロするわけだが、今作の圭一たちは鋼のごとき決意とメンタルで沙都子救出へと向かうのだ。有象無象の一人や二人や百人が死んだ程度では揺らがない。
また、デマを流して村人たちをかく乱するという、えげつない戦法を繰り出している。お前ら本当に中学生かよ。
希望のあるエンディング
最終的には雛見沢症候群が世界規模で拡散する話。なので、被害規模だけでいえばシリーズワースト。
当然、エンディングは絶望的な状況なのだが、それでも希望のある終わり方だ。シリーズに思い入れのある人ほど、このエンディングは胸にしみるだろう。
雛見沢の住人が変わる描写がもう少しほしい
50分ちょいという短い時間のためか、雛見沢の住人が変わっていく過程のほとんどは、魅音の話で描写される。個人的にはここの描写にもう少しだけ尺を割いて、魅音の話以外でも示してほしかった。
本編とは異なるテイストのファン向けOVA
本作はゲームにおけるファンディスク的な立ち位置で、本編のようなミステリー・サスペンス色はほぼない。そのため、そういうのを求める人からするとこれじゃない感を覚えるかも。
また未知の病気が広がるパニックホラー的な作品ではあるが、肝心のその要素も薄い。
本作のエンディング自体はバッドだが、部活メンバーが(少なくともエンディング時点では)生き残っており、先述のように未来への希望もある。
このエンディングと、圭一とレナの村人大量虐殺に興味があるシリーズファン向けの作品だろう。