『2012』CGがすごいだけのディザスター・ムービー
2012年、世界各地で未曽有の自然災害が発生する。
主人公・ジャクソンは別れた妻・ケイト、妻と住んでいる子どもたち、妻の恋人・ゴードンとともに、生き延びるために奔走する、というのがあらすじ。
"2012" 予告編 2009年11月21日(土)全国ロードショー
ハイレベルな災害のCG
様々な災害はCGで描写されているが、CGのレベルは本当に高い。
公式サイトはアクセスできなくなっているが、YouTubeで見られる予告編のCGは今見てもすごいと思う。そのせいで映画を見る前は面白そうだとだまされた。
CGの良さを台無しにする脚本の雑さ
本作は群像劇スタイルだが、ジャクソンが実質の主人公と言っていいと思う。そして脚本は、最終的にこのジャクソンさえ幸せならそれでいい、と言わんばかりの雑っぷり。主人公補正が露骨すぎて萎える。
ジャクソン周りの登場人物が、ジャクソンを生存させたりハッピーエンドに見せかけたりするための道具でしかない。災害のせいでケイトがゴードンと仲違いした、といった展開もないのに、(ゴードンが直前で死亡したとはいえ)エンディングではケイトがジャクソンとよりを戻すという適当さ。
ジャクソンと同行するサブキャラたちは、ジャクソンにとって必要なくなったら即さようなら。飛行機のパイロットであるサーシャは、ジャクソンたちが飛行機を降りた直後に死亡。ゴードンはエンディング直前で死亡するのだが、「お前がいたらジャクソンとケイトがくっつけねえ」という理由で適当に殺されたようにしか見えなかった。
主人公補正と道具でしかないサブキャラたちの扱い。これらのおかげで、いくらCGがすごかろうが緊迫感がまったくない。脚本がクソすぎて、人によっては怒りを覚えるかもしれない。
予告編でCGだけ見れば十分
結論として、見る価値なし。CGはすごいが、もし見られるなら予告編だけ見れば十分。
以前、どこかで「作品のクオリティを上げるもっとも簡単な方法はシナリオに力を入れること」というのを見たことがある。本作はその真逆のことをやっているおかげで、見事なクソ映画になった。