『モネ・ゲーム』緩い笑いがところどころにあるクライム・コメディ
アメリカとイギリスが合作したクライム・コメディ映画『モネ・ゲーム』。1966年のアメリカ映画『泥棒貴族』のリメイク作品だ。
オスカー俳優のコリン・ファース、日本でも著名なキャメロン・ディアスが出演しているわりに、なんだか妙にこじんまりとしている。
贋作詐欺の計画は妄想どおりにうまくいくのか
美術品の鑑定士であるハリー・ディーンは、雇い主で絵画のコレクターであるライオネル・シャバンダーへの復讐を決意する。
元軍人で贋作家であるネルソン少佐が作成したクロード・モネの『積み荷・夕暮れ』の偽物を、ライオネルに高値で売りつけることにしたのだ。
二人はカウガールであるPJ・プズナウスキーを贋作『夕暮れ』の所持者に仕立て上げる。そして、ライオネルをあっさりと騙して贋作を売りつけることに成功した――と思いきや、それはハリーの妄想だった。
果たして、3人の計画は妄想のようにうまくいくのか。
妄想と現実の差、PJのギャップ
序盤のPJは全然しゃべらないから変だなと思っていたら、ハリーがまだPJの声を聞いていないからだった。この細かい演出は本筋にまったく関係ないが、個人的には結構よかった。
ちなみに、妄想のPJはミステリアスな美人だったが、本物は早朝からマンションの室内で縄跳びするような、爽やかな無作法ものだった。
緩い笑いが特徴
めちゃくちゃ笑えるというわけではないが、緩い笑いがところどころにあるのが本作の特徴だ。
ライオネルをヌーディスト呼ばわりするディーンのズボンなしスーツ姿が特に印象的だった。ちなみに、ハリーの妄想ではあるが、ライオネルが社長室でパンツ一丁というシーンもある。誰得。
贋作騒動の顛末は?
『積み藁・夕暮れ』の贋作の顛末については、賛否別れそう。初志どおり金をせしめておけばよかったのにと思うかもしれない。しかしライオネルを見返した上で啖呵を切るハリーの姿は、それなりに爽快である。
……などと思っていたら、ハリーと少佐は別の方法で金をゲットしていやがった。この部分は素直に騙された。作風が緩くて先の展開を読む気がしなかっただけな気もするが。
緩い笑いはいいが、ちょっと物足りない
主役とヒロインが豪華なわりに、話のスケールも笑いの規模も小さい本作。
つまらないというほどでもなくところどころでクスッと笑え、最後はちょっと爽快だったりする。それでもコメディ映画としては物足りなさを感じる。
緩い笑いという方向性はそのままに、もう少し笑いの量を増やしてほしかった。