『300 <スリーハンドレッド>』300人の半裸マッチョなスパルタ兵が無双!
300人のマッチョで半裸なスパルタ兵がペルシアの大軍に戦いを挑む『300 <スリーハンドレット>』。紀元前480年に起こったペルシア戦争のテルモピュライの戦いを描いた作品だ。
原作は『シン・シティ』も手掛けたフランク・ミラーによるアメコミで、グラフィックノベルと呼ばれる形態だそうだ。ちなみに原作ではスパルタ兵はフルチン。
スローモーションを多用したスタイリッシュな演出と、全編通してセピア調の映像が非常に印象的。スローモーションの濫用が少し気になるが、アクションシーン自体は見応えがあるので、アクション好きにおすすめしたい。
300 - First Battle Scene - Full HD 1080p - Earthquake. No Captain, Battle Formations...
- テルモピュライの戦いの火蓋が切られる
- スパルタの誇る屈強な兵士たちと変態・卑劣な悪漢たち
- 戦士になれなかったエフィアルテス
- スローモーションの多用とセピア調の画面
- 公開当時の日本ではR-15指定だったので注意が必要?
- 時代考証?なにそれ?おいしいの?
- スパルタ兵の活躍と筋肉を楽しむ映画
テルモピュライの戦いの火蓋が切られる
スパルタ人のレオニダスは「戦場での死は最高の栄誉」というスパルタ洗脳教育を受けて育ち、王になった。
愛する王妃や王子とともに暮らしていたレオニダスの元に、ペルシアの王・クセルクセスの使いが現れる。使いはスパルタに服従を求めるが、レオニダスはスパルタの流儀を貫き、戦争を決意する。This is Sparta!
しかし、戦争をするにはエフォロイと呼ばれる神官の許可が必要だった。そのため、レオニダスはエフォロイに事情を話すが、エフォロイの託宣は戦争を許可しなかった。エフォロイはペルシアに買収されていたためだ。
全裸で悩むレオニダスだが、妙に男前な王妃ゴルゴの後押しもあり、防衛のための戦争を決意する。レオニダスは300の精鋭を率いて北にある『灼熱の門』へ向かう。こうして、テルモピュライの戦いが幕を開ける。
スパルタの誇る屈強な兵士たちと変態・卑劣な悪漢たち
本作はレオニダス、すなわちスパルタの視点から描かれている。そのため、主役のレオニダス王と300人のスパルタ軍の精鋭は当然のごとくかっこよく描かれている。全裸ですらかっこいい。
レオニダスの妻であるゴルゴも非常にかっこいい。作中で一番の男前かもしれないレベルだ。
エフォロイの託宣とペルシアの脅威の間で悩むレオニダスの尻を叩いたり、増援を送るために評議会で勇ましく演説を打ったりと、極めて芯の強い女性である。
そんなスパルタに対するペルシア軍だが、クセルクセス王はぱっと見、変態である。
スパルタ兵同様に半裸なのだが、スパルタ兵がパンツと赤マントと筋肉美に対し、クセルクセス王は鼻輪をはじめとした金色の装飾品をじゃらじゃらと着けている。
なんというか、成金ファッション的な感じがする。補足すると、クセルクセス王も割といい身体をしているのだが。
クセルクセス王に内通しているエフォロイやエフィアルテスは見た目から醜悪に描かれている。
エフォロイは神官なのだが、その割にペルシアに金で買収されていたり、託宣と称して美女を弄んだりする。そのため、登場した直後にナレーターに穢れた豚呼ばわりされる。
スパルタの政治家であるセロンも内通者なのだが、こちらは見た目だけならかっこいい。ただし、クズ度はエフォロイやエフィアルテスを遥かに凌駕するが。
ペルシア軍は他にもマスクを着けた謎の集団・不死の軍団や、出演する映画を間違えている気がする巨人などを有している。これらの兵士も一貫して不気味な存在として描かれている。
戦士になれなかったエフィアルテス
奇形児ゆえに戦士になれなかったエフィアルテスは、登場直後はレオニダスに参戦の許可を求める。心は戦士であろうとしたのだ。
しかし、盾を首より上に持ち上げられなかったために兵士とは認められなかった。盾を扱えないことは隣の戦友を守れないことを意味するからだ。
代わりに、レオニダスは掃除や看護での貢献を促すが、エフィアルテスは逆恨みしてスパルタを裏切ってしまう。
そんなエフィアルテスだが、「戦場での死を名誉」とするスパルタ人として生まれたのに、終盤ではレオニダスに「永遠に生きろ」と言われてしまう。
自業自得ではあるが、エフィアルテスが醜く言い返したりせず悲しげな表情をするため、哀愁の漂うシーンだ。
スローモーションの多用とセピア調の画面
本作のアクションシーンでは、スローモーションを多用したスタイリッシュな演出が非常に印象的だ。スローモーションのオンオフによる緩急があり、見ていて面白い。
反面、ちょっと多用し過ぎで全体的にはワンパターンな気もする。濫用するのではなく使用するシーンをもう少し絞ったほうが良かったと思う。演出自体はかっこいいのでもったいないように感じた。
色調は全編通してセピア調のやや暗めな感じになっている。このおかげで、絵画のような独特の映像になっている。古代の戦いを描いた本作とマッチョした表現だと思う。
公開当時の日本ではR-15指定だったので注意が必要?
スパルタとペルシアの戦いを描いた本作は、当然のごとく暴力的なシーンが含まれている。ペルシア軍のぶった切られた手足や首が吹っ飛ぶのはよくあることである。
とはいえ、梨汁血しぶきブシャーというほどではなく、案外あっさりとしている。
見ているこちらの痛覚や心理的不快さを刺激してくるようなねちっこさはないので、気にならない人は全然気にならないと思う。むしろ物足りないのでもっとやれ。
時代考証?なにそれ?おいしいの?
史実を元にした本作だが、時代考証についてはかなり雑である。というか、ペルシア軍の描写がかなりファンタジー入っていて、結構強めの批判もあるらしい。祖先を侮辱されたと、公開当時は特にイランの人たちが怒ったらしい。
しかし、自由のために戦う正義のスパルタは強くてかっこよく、侵略者である悪のペルシアは不気味でおぞましいという描写は、差別がどうたらというより単にわかりやすさを求めた結果だろう。
まあ、製作者側の配慮が足りなかったとは思うが。
スパルタ兵の活躍と筋肉を楽しむ映画
半裸マッチョをスローモーションとセピア調でかっこよく描いた本作。レオニダス率いる一騎当千のスパルタ兵が、数で圧倒的に勝るペルシア軍を撃破していくのは痛快だ。
しかし、本作にテーマ性はほとんどなく、時代考証に関してもやる気は見られない。探せばいろいろと粗があるので、細かいところがどうしても気になる人には向かないだろう。
そのため、本作はアクション好きで細かいところを気にしない人向けである。そういう人なら、かっこいい演出で彩られたスパルタ兵の活躍と筋肉を存分に楽しめると思う。