『ドラゴンボール超 ブロリー』旧劇場版オリジナルキャラのブロリーを鳥山明がアレンジ
ドラゴンボールのサイヤ人・ブロリーは、原作には登場しない旧劇場版のオリジナルキャラクターだ。圧倒的な強さと凶悪さと初出演作のネタ的な面白さで、ブロリストなるファンを生み出した。
そのブロリーや彼に関する話を、原作者の鳥山明氏が直々にアレンジしたのが『ドラゴンボール超 ブロリー』。
バトルシーンの力の入り具合や、合間に挟まる笑えるギャグなど、面白い点も多数ある。しかし、ブロリーに大幅に手が加えられた結果、旧劇場版からのブロリーのファンには少々勧めづらい作品になってしまった。
- あらすじ
- ドラゴンボール超のブロリーは純真な野生児
- 親父ぃことパラガスにも変化あり
- ギャグキャラと化したフリーザ様
- バトルシーンはド派手だが、一部の表現が気になる
- 旧作のブロリーと別物と割り切れるかで評価が変わる
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あらすじ
サイヤ人のブロリーは、父親のパラガスとともに辺境の惑星で暮らしていた。ブロリーの高すぎる潜在能力が問題視され、惑星ベジータから追放されたためだ。2人は救難信号を捉えたフリーザ軍に救助される。
一方、悟空とベジータは、フリーザの部下に奪われたドラゴンボールを追っていた。氷の大陸にやってきた2人は、そこでフリーザとブロリーと出会う。
悟空が「サイヤ人同士、仲良くやろうぜ」と言うものの、暴走したブロリーは2人に襲いかかる。
ドラゴンボール超のブロリーは純真な野生児
旧作でのブロリーは悪魔と称されていたが、今作のブロリーは純真な野生児だ。パラガス、ベジータ王、フリーザに振り回されまくっている、可愛そうな被害者としか思えない。
旧作では、原作者の鳥山明氏がブロリーのキャラクターデザインを担当したが、設定やストーリー作りには関わっていない。しかし本作の制作には鳥山明氏が大きく関わっているため、ブロリーは旧作とは異なるキャラになった。
完全に別キャラと考えればありだが、従来のブロリーを期待すると肩透かしを食らう。ブロリーという名前やビジュアルが足を引っ張って、別キャラとして受け止めることができない人もいるだろう。
親父ぃことパラガスにも変化あり
ブロリーだけでなく、一部で親父ぃと呼ばれているパラガスにも手が加えられている。旧作では中年親父だったが、本作では苦労しまくった白髪の老人だ。
父親としての情を見せつつも、ブロリーを復讐の道具として扱う点は同じだが。
パラガスの変化といえば、実は声優が交代している。パラガスを担当していた家弓家正氏が本作の制作前に亡くなっていたため、本作では宝亀克寿氏が声優を務めている。
宝亀克寿氏の演技自体はよかったし、事情が事情なので仕方ないのだが、それでもあの独特な汚い笑い声をまた聞きたかった。
ギャグキャラと化したフリーザ様
ドラゴンボール超は見ていないので、超本編でのフリーザがどういう扱いなのかは知らない。しかし、本作でのフリーザは完全にギャグキャラと化していた。
最序盤では部下たちを使い、ブルマが集めていたドラゴンボールを奪う。肝心の叶えたい願いは、まさかの「身長を5cm伸ばしたい」。正直、笑ったが、お前そういうキャラじゃないだろ。どうしてこうなった。
さらに終盤では、悟空とブロリーの戦闘を間近で観戦していたのが災いし、暴走状態のブロリーにボコられることに。
ボコられているシーン自体は短いが、作中での描写からすると、1時間以上、ひたすらボコられていたらしい。完全にギャグです。
バトルシーンはド派手だが、一部の表現が気になる
バトルシーンは非常に派手で、めちゃくちゃ力が入っている。合間にバトっていないキャラの会話が挟まったりするが、30分くらい戦い続けなのに全然退屈しなかった。
特に印象に残ったのは、悟空がかめはめ波、ベジータがギャリック砲を同時に放つシーンだ。このシーンは、予告でも採用されている。
しかし、ところどころゲーム的な描写なのが気になった。FPSを連想させる、悟空やブロリーの一人称視点がそれだ。キャラがCGで描かれている部分は、近年のドラゴンボールの格ゲーを連想してしまう。
この辺りは好みの問題だが、それ以上にひっかかる部分もあった。プロレスの登場シーンで外国人女性が選手の名前を叫ぶやつがあるが、なぜか本作でもそれをやっている。
いや、ドラゴンボールでそんなんやられても、ギャグにしかならんのですが。しかも、BGMでカカロット連呼していたりする。何考えてんだ。
旧作のブロリーと別物と割り切れるかで評価が変わる
一部の演出に疑問はあるが、バトルシーンは非常にド派手で爽快感がある。フリーザの扱いも賛否ありそうだが、個人的には結構笑えた。
問題なのは、ブロリーに従来とは真逆とも言える設定をぶち込んでしてしまったことだ。
ブロリーではなく、新キャラで本作をやっていたら本当に問題なかった。見た目はごついけど、純粋なところはかわいいと思えたし。でも、ブロリーにそういうのを求めていない人もいるんだよなあ……。
旧作のブロリーとは別物と割り切れるかどうかで、本作の評価が変わるだろう。旧作のブロリーを知らない人になら、素直に勧められる。
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