『悪魔のいけにえ』チェーンソーを振り回すレザーフェイスから逃げろ!
チェーンソーを持った殺人鬼が、5人の若者に襲いかかるホラー映画『悪魔のいけにえ』。
1974年の映画だが、リマスター版の『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』もあるため、入手や視聴は簡単だ。
本作の殺人鬼であるレザーフェイスは、2016年にリリースされたゲーム『Dead by Daylight』にも出ている。こちらでレザーフェイスを知った人も多いだろう。
正直、怖さの面では物足りなかった。しかし、レザーフェイスたちソーヤー一家の個性や不穏な雰囲気など、独特の魅力もある。
これでサリーがもう少し静かだったら……。
- あらすじ
- レザーフェイスを始めとする異常な殺人一家
- 不穏さをかき立てる淡々とした雰囲気
- 直接的な暴力表現の少ない殺人描写
- 印象的な2つのシーン
- サリーがうるさすぎて雰囲気が台無し
- 独自の魅力はあるがサリーがうるさい
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あらすじ
1973年のテキサスで、腐敗しかけた死体で作られた悪趣味なモニュメントが発見される。死体は墓場から持ち出されたものだった。
サリーと足の不自由な兄のフランクリンは、友人のカークたちと一緒にワゴン車で墓場へと赴いた。自分たちの祖父の墓が荒らされていないかを確認するためだ。
道中、一行は顔の右側に大きなシミのあるヒッチハイカーを乗せるが、彼は自傷行為をしたりフランクリンの腕をナイフで切ったりと異常な行動を取る。不気味に思った一行は、彼を下車させた。
その後、ワゴン車の燃料が心もとなくなったため、友人のカークは見つけた民家でガソリンを分けてもらおうとする。しかしその家に住んでいたのは、常軌を逸した殺人一家だった。
レザーフェイスを始めとする異常な殺人一家
サリーたちに襲いかかるのは、異常なソーヤー一家だ。看板キャラのレザーフェイスの印象が強いが、他のメンツも強烈な個性を放っている。
レザーフェイスことババ・ソーヤーは、人の皮でできたマスクを被っている。腹が出ている割に、チェーンソーを持って走り回れる持久力の持ち主だ。殺傷能力は一番高そうだが、末っ子のためか、家族内でのヒエラルキーは低いようだ。
ヒッチハイカーことナビンズ・ソーヤーは、序盤にワゴン車内で数々の異常行動を披露してくれる。ある意味、一家の中で一番関わりたくない人物かもしれない。レザーフェイスの兄でもある。
コックことドレイトン・ソーヤーは、ガソリンスタンドの店主をしており、ソーヤーの兄弟の長男でもある。弟たちと比べるとインパクトは薄いが、恐怖のあまり喚くサリーを見て笑うように、彼もまた立派な狂人だ。
ソーヤー兄弟にじい様と呼ばれる人物は、実は兄弟の父親らしい。年齢は驚きの124歳で、見た目は完全にミイラだ。よく生きているな。
不穏さをかき立てる淡々とした雰囲気
本作のBGMは、一般的な映画と比較するとかなり控えめである。シーンによっては環境音のみのところもあるくらいだ。
余計な音のない状況が生み出す淡々とした雰囲気が、怖い想像をしてしまう不穏な雰囲気を作り出している。
直接的な暴力表現の少ない殺人描写
ホラー映画でチェーンソーと来れば、大半の人々は血しぶきほとばしるグロテスクなシーンを想像するだろう。
しかし、本作は殺人鬼がチェーンソーを振り回す映画にも関わらず、直接的な暴力表現はハンマーで頭を殴る程度である。チェーンソーでの殺人描写は、人の体を遮蔽物にすることで肉体が損壊する様は見られないようになっている。
そのため、グロ描写を求めたら間違いなく物足りないが、人によってはかえって想像力をかき立てられて怖いかもしれない。
印象的な2つのシーン
本作には、特に印象的だった2つのシーンがある。
1つ目は、レザーフェイスの初登場シーンだ。物陰から変なのが出てきたと思ったら、いきなり殺人を犯すのである。他のホラー映画と比べると顔役の登場シーンなのにかなりあっさりしているが、そのあっさり感がかえって強烈な印象を残した。
2つ目は、ソーヤー一家のじい様がサリーの血を飲むシーンだ。今までミイラだと思っていたのに、サリーの血を与えられた瞬間、じい様が動き出すのだ。初見でじい様が生きていることを見抜けた人は、果たしているのだろうか。
サリーがうるさすぎて雰囲気が台無し
本作の後半は、サリーがソーヤー一家から逃げられるのかが主軸になる。
しかし、肝心のサリーがひたすらうるさい。海外のホラー映画だから絶叫するのは仕方ないにしても、限度があるだろ。サリーがうるさすぎるせいで、せっかくの淡々かつ不穏な雰囲気が台無しだ。
独自の魅力はあるがサリーがうるさい
危険な場所に近づいた若者たちが殺人鬼に襲われるという、筋書きだけ見ればよくあるホラー映画だ。
しかし、ソーヤー一家の強烈な個性や淡々とした不穏な雰囲気、想像力をかき立てる演出と、確かな独自性を有している。
反面、後半はサリーの絶叫がとにかくうるさく、せっかくの雰囲気が台無しになってしまった。その点は非常にもったいないと思う。
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