『シン・シティ』独特のセリフ・映像表現で3人の男の闘いを描いたハードボイルド映画
アメリカの犯罪都市シン・シティ(ベイシン・シティ)を舞台に、3人の男の戦いを、モノクロと部分的なカラーを用いたスタイリッシュな映像、そして男臭いかっこよさと詩的さを両立したセリフで描写したのが、ハードボイルド映画『シン・シティ』だ。
愛のために悪に牙を剥く男たち
生まれる時代を間違えた英雄マーヴは、一夜の夢を見せてくれた娼婦ゴールディの仇を討つために。
警察に追われている犯罪者ドワイトは、かつての恋人で娼婦街の女王ゲイルと街を守るために。
冤罪をかけられた元刑事ハーティガンは、冤罪を受け入れてでも守った一途な少女ナンシーを再び守り抜くために。
3 人の男たちがそれぞれの理由で、愛する女性のために暴力で悪に立ち向かう。
魅力あふれる登場人物たちと様々な愛の形
本作は吹き替えが妙に豪華なのが特徴だ。
最初のセリフについての感想も、吹き替え版についてである。
渋かっこよさと美しさを併せ持つセリフは、好きな人にはたまらない。
また、男たちの行動の動機となる個性的なヒロインも、そして彼らの様々な形の愛も魅力の一つだ。
愛ゆえに自ら破滅へと突き進む姿は、バカだと思いつつも惹かれてしまうものがある。
好き嫌いの分かれそうな映像・暴力表現
そんな本作の欠点は、好き嫌いの分かれそうな映像表現だ。
個人的には芸術的だと思うが、今どきモノクロなんて、と敬遠する人も多いのでは。目に悪い気もするし。
本作のハードボイルドさを支える大事な一因でもある暴力描写も、これまた人によっては受け付けないだろう。
ところどころ笑いを誘うような暴力表現まであるし。矢文が刺さったモブキャラの言動は、妙にシュールだった。
癖は強いが、興味があればぜひ見てほしい
まとめると、個人的には他人に薦めたいものの、癖が強いゆえに万人向けではない。が、ハマれる人はとことんハマれる映画だ。
アダルティでハードボイルドな作風が好きだったり、予告編などでスタイリッシュな映像に魅せられたりしたら、一度見てほしい。