『死霊館 エンフィールド事件』実際にあったポルターガイスト現象を映画化
オカルト好きの間では有名な、イギリスのエンフィールドで実際に起こったとされる一連のポルターガイスト現象をテーマにした『死霊館 エンフィールド事件』。
本作は悪霊が恐怖を撒き散らすオカルト・ホラーだが、心霊現象に関わる人々のヒューマンドラマとしての側面もある。
監督を務めるのは、残酷表現と練り込まれたシナリオで大ヒットした『SAW』シリーズのジェームズ・ワン。本作では残酷表現は鳴りを潜めているが、シナリオの作り込みは健在だ。
『死霊館』シリーズの2作目のため、前作を見ていないとわかりづらい描写も序盤に少しだけある。しかし本作だけでも十分楽しめるので、ホラー好きはぜひ見てほしい。
映画 『死霊館 エンフィールド事件』本予告【HD】2016年7月9日公開
あらすじ
1977年。心霊研究家のウォーレン夫妻は、教会関係者から持ち込まれたテープを聞いた。老人が語っているように聞こえたが、声の持ち主はホジソン家の次女ジャネットだという。
教会から本物の心霊現象か見極めるように依頼されたウォーレン夫妻は、イギリスのエンフィールドに赴く。母親と子供4人で生活しているホジソン家では、ラップ音や空中浮遊、物体の瞬間移動など様々な心霊現象が発生しているという。
果たして、ホジソン家の現象は本物の心霊現象なのだろうか。
エンフィールド事件とは?
日本語タイトルに含まれているエンフィールド事件とは、1977年のイギリスのエンフィールドで実際に起こったとされる一連のポルターガイストのことだ。オカルト好きの間では有名な出来事でもある。
ポルターガイストとはドイツ語で「騒がしい霊」という意味で、物が勝手に動いたり原因不明の音がしたりなどの心霊現象を指す。原因不明の音についてはラップ音と言うことが多い。
ラップ音の正体は、単なる家鳴りや反響した音ということもある。机がガタガタ揺れるのも、磁石を使ったヤラセや人の無意識が原因だったというような、オカルト好きからするとガッカリな結末なことも。
しかし、エンフィールドのポルターガイストは本物の心霊現象だったと言われている。確認されたポルターガイストの数が、でっちあげではありえないほど多いためだ。
数ヶ月の調査期間で1500を超える怪奇現象があり、さらに専門家によって確保された大量の証拠もある。この尋常ではない証拠の数々が、エンフィールドの騒動を有名にしているのだ。
多種多様なホラー描写
『死霊館 エンフィールド事件』では、ホジソン家とウォーレン夫妻を2体の悪霊が苦しめる。
1体はビルと名乗る72歳の老人の霊で、もう1体はシスター姿の悪霊だ。ビルはホジソン家で暴れまわり、シスターはウォーレン夫妻にちょっかいをかける。
シスターは中盤での出番がないため、出ずっぱりのビルに比べると影が薄いが、目力が半端なくビジュアル面でのインパクトは強い。
この2体の悪霊がいろいろ悪さをするわけだが、ホラー描写は実に多種多様だ。緊張感を出しながらも何もないという定番や、幽霊が走り寄ってくるビックリ要素、登場人物の見ていない部分での異変など、趣向を凝らしている。
カメラワークも力が入っており、怖さを効果的に引き立てている。
心霊研究家たちの調査活動
ウォーレン夫妻はホジソン家の心霊現象が本物か調査するべく、エンフィールドを訪れる。そのため、他の協力者たちとともに関係者への聞き取りや写真・ビデオの撮影を行い、真偽を判断しようとする。
専門家による調査は他のホラー作品ではあまり見かけないが、個人的にはすごく好きなプロセスだ。最近はテレビでこういう心霊番組をやってくれなくなったのが寂しい。
ヒューマンドラマとしての側面も
『死霊館 エンフィールド事件』は悪霊が人々を脅かすオカルト・ホラーだが、ヒューマンドラマとしての側面もある。
悪霊にとり憑かれたジャネットが、徐々にウォーレン夫妻と信頼関係を築く描写は非常に丁寧で心温まる。
ウォーレン夫妻は心霊研究家だからこその悩みを抱えており、ホラー以外の部分もしっかりしている。凝ったホラー描写と胸を打つストーリーのおかげで、見終わった後の満足感が高い。
満足度の高いオカルト・ホラー
カメラワークやシチュエーションが凝っているホラー描写と、心霊現象に関係する人たちの悩みや信頼関係の構築を丁寧に描いたヒューマンドラマ。
これらが上手に組み合わさった『死霊館 エンフィールド事件』は、非常に満足度の高いオカルト・ホラーになっている。
ホラー作品は後味の悪い作品も多いが、本作は明るいハッピーエンドを迎える。そのため、バッドエンドが嫌いな人にもおすすめだ。
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