『ポゼッション』悪魔を封じた呪いの箱「ディビュークの箱」の実話が元ネタ
実話を基にしたと主張するホラー映画は多数ある。心霊現象と裁判を取り扱った『エミリー・ローズ』、心霊研究家の経験を映像化した『死霊館』などだ。
『ポゼッション』も同様で、本作で描かれているのは呪いの箱の恐怖だ。ディビュークの箱、あるいはディブクの箱という言葉を見聞きした人もいるだろう。
本作では、序盤から念力で人を吹き飛ばすというわかりやすい形で箱の脅威が示される。Jホラーのようなじっとりとした恐怖感はないが、派手な呪いの数々は見ていて面白い。テンポの良さもグッド。
- あらすじ
- タイトルの『ポゼッション』の意味は?
- 呪いの箱「ディビュークの箱」とは?本当に実話?
- 序盤から示される箱の脅威が今後の展開を期待させる
- 現実のディビュークの箱を意識したホラー描写も
- 派手でバリエーションに富んだホラー描写は見応えあり
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あらすじ
エミリーは、ガレージセールで見かけたアンティークの木箱を一目で気に入る。しかし、木箱を手にしてからエミリーの様子が徐々におかしくなり、箱に異常な執着を示す。
さらに、エミリーの周囲で蛾の大量発生や怪死など、不可解な現象も発生する。
父親のクライドは、エミリーの様子から異常の元凶は箱ではないかと考え、知り合いの大学教授に相談する。教授によれば、木箱の正体はディビュークの箱――悪魔を封じ込めたものだった。
タイトルの『ポゼッション』の意味は?
本作のタイトルである「ポゼッション」(Possession)と英語は、「所有」や「占領」という意味の言葉だ。しかしそれだけでなく、「悪魔がとりつくこと」という意味もある。
呪いの箱「ディビュークの箱」とは?本当に実話?
『ポゼッション』のすべての元凶は、呪いの箱である「ディビュークの箱」だ。「ディブクの箱」と言われることもある。ディビューク(Dybbuk、またはDibbuk)はヘブライ語で「しがみつく」という意味らしい。
本作はディビュークの箱にまつわる実話に基にしているというが、そもそもディビュークの箱とは何だろうか?
映画では小物入れになっているディビュークの箱だが、本物は古いワインキャビネットで悪霊が封じられているという話だ。2001年にはオークション・サイト「eBay」に出品された。
箱の所有者は、ことごとく心霊現象じみた異常な体験をしたらしい。具体的には、悪臭が立ち込める、害虫が箱から湧き出す、電球が割れるなど。
現在、ディビュークの箱は、ラスベガスにあるザック・バガンズのお化け博物館(Zak Bagans' The Haunted Museum)で展示されている。
序盤から示される箱の脅威が今後の展開を期待させる
『ポゼッション』は、一人の老婆が箱を壊そうとする場面から始まる。だが、箱の悪魔は念力を使い、老婆を何度も壁や床にたたきつける。序盤からいきなり箱の脅威を見せつけてくるのだ。
視聴者は箱のヤバさを開幕直後に理解させられるが、クライドやエミリーはそんなことを知る由もない。そのため、エミリーがガレージセールで箱を手に取ってしまったときは、今後の展開が否応なく気になってしまう。
現実のディビュークの箱を意識したホラー描写も
『ポゼッション』では、ディビュークの箱の悪魔が様々な超常現象を起こす。人や物を吹っ飛ばすという非現実的なものもあれば、蛾の大量発生のように現実の箱を意識したホラー描写もある。
皮膚の下を何かがうごめくといった生理的に嫌悪感を催す描写もあるが、そればっかりではない。ホラー描写はなかなか凝っており、見ていて楽しい。
終盤ではエミリーを救うため、悪魔祓いが行われる。悪魔とエクソシストの対決も見どころの1つだ。
派手でバリエーションに富んだホラー描写は見応えあり
呪いの箱「ディビュークの箱」に封じられていた悪魔が結構派手に暴れる『ポゼッション』。
個人的には怖さは物足りなかったものの、派手でバリエーションに富んだホラー描写は見ていて面白かった。サクサク進む展開のおかげで、中だるみも感じなかった。
題材のディビュークの箱については、だいぶ誇張されて描かれている。しかし、実話を意識した描写もあり、元ネタを知っていればより楽しめるだろう。
ただまあ、エンディングのあれは必要だったのかと言いたくはなった。ホラーのお約束っちゃあお約束なんだけど、せっかくきれいに終わったのに……。
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