『アンフレンデッド：ダークウェブ』ダークウェブの恐怖を描いたリモート作品の先駆け

出来心でノートPCを盗んだ結果、恐怖の一夜を過ごすことになってしまった『アンフレンデッド：ダークウェブ』。

一風変わった作品で、作中ではSkypeやFacebookでのやり取りが映され続ける。リモートドラマの1種といえば、ピンとくる人もいるだろう。

本作は、2014年に制作されたホラー映画『アンフレンデッド』の続編だ。

しかし、共通点は物語がPC上で進む点だけ。前作は幽霊、本作は犯罪者集団を取り扱っているため、気になったほうだけ見て問題ない。

あらすじ

中古ながらも高性能のノートPCを手に入れたマタイアス。深夜になると、彼はいつものように友人たちとSkypeでの会話を楽しみ始めた。

マタイアスは、SkypeをしながらノートPCの中身を調べる。発見した隠しフォルダーには、監視カメラやPC内蔵カメラの盗撮映像と思しき動画が保存されていた。

さらに、マタイアスのPCに不審なメッセージが届く。実は、マタイアスはノートPCを購入したのではなく盗んだのだ。それも、犯罪者集団カロンのPCを。

出来心でノートPCを盗んだ代償はあまりにも大きく、マタイアスたちの恐怖の1夜が始まる。

タイトルにもあるダークウェブとは、ネットの一領域だ。GoogleやYahoo!などの一般的な検索エンジンではたどり着けず、アクセスするためには専用のツールやウェブブラウザを使う必要があると言われている。

ネットの闇と称されることもあるダークウェブでは、児童ポルノや薬物のような違法な取引が行われているという話もある。

ダークウェブに関する話で一番有名なのは、殺人のライブ中継が見られるRed Room（赤い部屋）という都市伝説だろう。

実際には、ダークウェブの多くは無害であるとされている。しかし、ダークウェブを悪用しているサイバー犯罪者がいるのも事実のため、安易にアクセスするのは避けるべきだ。

犯人が映っているときだけ都合よく映像がおかしくなったり、撮影・配信されていない登場人物たちのやり取りが都合よく盗撮されていたりなど、作中での描写はやりすぎな感は否めない。

しかし、ハッキングによる情報漏洩やWebカメラの乗っ取りは、残念なことにそれなりに聞く話だ。そのため、もしかしたらと思ってしまう面もある。

本作はPCやスマホの画面上でのやり取りでストーリーが進む。PCの全画面表示で視聴すれば、一種の疑似体験ができる。本作への没入感が増すため、おすすめだ。

また、作中でマタイアスたちが利用するサービスは、SkypeやFacebookのような有名かつ実在するものだ。Skypeなどを日常的に使っている人にとっては、より身近な物語に感じられるのではないだろうか。

『アンフレンデッド：ダークウェブ』のそもそもの発端は、犯罪動画がパンパンに入りまくったノートPCを、犯罪者集団カロンの1人がネットカフェに置き忘れるところだ。

思わず「そんなもんを不用心に持ち歩くわけないだろ」とツッコミを入れたくなる。しかし実は、カロンには真の目的があったことが判明する。

だが、その目的を踏まえたうえでも、本作の騒動には無理がある。カロンが目的を達成する前に通報される危険性があり、リスクが高すぎるようにしか思えない。

作中では、カロンはスーパーハッカーの集団として書かれている。が、その割に妙に頭が悪い気が。

また、カロンの1人がメンバーの1人を駅構内で襲撃する。ホームから突き落としてれき殺を狙ったが、実際には突き落とす前に勘付かれてもみ合いになり、2人仲良く電車にふっとばされた模様。マヌケすぎない？

SkypeやFacebookでのやり取りを通し、ダークウェブや犯罪者集団の恐怖を描いた『アンフレンデッド：ダークウェブ』。

ツッコミどころは多いものの、ハッキング被害はたびたび聞く話でもある。作中ではSkypeのような身近なサービスが使われているため、人によっては恐怖がいや増すかもしれない。

最近では、コロナウイルス対策のために3密（密閉空間、密閉場所、密接場面）を避ける必要性から、リモート番組やリモートドラマが生まれた。本作はそういったリモート作品の先駆けと捉えることもできる。

もしホラーやスリラー色の強いリモート作品をお探しなら、『アンフレンデッド』シリーズの視聴を検討してみてほしい。